袴を楽しむ
第1回『後ろ高で前下がりの袴姿』
袴といえば、腰周りや脇が大きくあいた風合いが特徴ですよね。
『後ろ高で前下がりの袴姿。』
これはなかなか格好のよいものです。
おなかが気になる方は、皆さん袴をつけられてみてはいかがでしょうか?
普段、パンツ(ズボン)姿のメタボお父さん?!お相撲さんの袴姿って格好良いと思いません?
・・・そう、あなたにピッタリ!
毎日着ている喜左衛門はというと・・・チビのやせ・・・。
商売柄毎日着ていても、スタッフからのモデル要請もありません。一日着てると昔のがきの着崩れ・・・。
そう、バカボン父さん!!
尻もおなかも小さく、ちっとも後ろ高にならない、そうめんの綴じひも状です。
それどころか車に乗ったりなどでだんだん後ろ腰部が引っ張られて、前はへそ上、後ろは尻だし・・・。
若い子の尻みせは歓迎ですが。(笑)
話は変わり、今回は美夜古の製作現場から見たお話です。
≪前の紐と後ろの紐が同じ高さの袴≫
表現的には同じ高さといっていますが、ほとんどは後ろの方(お尻の方)が指ひとつ分くらいは長いですね。
行灯袴などはこの形で大丈夫です。
その他の袴でも洋服生地などの広幅で作ると、おおよそ大丈夫。
普段着用のパンツ(ズボン)、スラックスなどを見てください。
あれと 同じタイプです。
前身頃、後ろ身頃に”くり”を充分とることができるからです。
反物でははぎ合わせが必要になりますし。多くの場合、尻の大きさ分後ろを長く作ります。
反物では洋服生地と違い幅がせまいので”くり”の長さが制約されるからです。
紐の長さは、前後同じ長さで作ることもできます。
おおよそ、手から手までの一ひろ分で紐の長さを作ります。
(このときの標準の袴紐は前紐約225cm、後ろ紐約225cm。)
結ぶ手順は、前から来て後ろで結び、それから後ろ紐を前で結ぶ。
必ず順序は守ってください。トイレで大変なことになります・・・。
その他、もっとも標準で作るのは後ろ紐はやはり同じ225cmですが、前紐を375cmと長く作ります。
この長すぎる紐は二重に巻くことでしっかり体になじみます。
≪一紐分 後ろ高の袴≫
美夜古の作品では前後の差を、約4cm後ろ高にするのが一番多いようです。
このときの上着の帯は、細紐でも角帯でもかまいません。
喜左衛門的には角帯のときはす巻きで横はさみ 、細紐も 横結びが腰痛気味の身には楽です。
運転時など結び目の圧迫感が腰に障るようです。
角帯の雰囲気が好みの方で、簡略好きで気短かな方には、マジックテープで留めるタイプの美夜古の簡易帯がありますので、ぜひ一度お試し下さい。
この袴の紐の長さは先ほど説明した前紐約375cm、後ろ紐は約225cmです。
このタイプは、前紐を先に結びます。
結ぶ手順はまず、後ろに回して前に戻します。それから再度後ろに回し結びます。
二度まわしにすると 荷造り紐と同じでしっかりよくしまります。
それから後ろの紐を前に回して結びますがその前に後ろ身に付いてる”へら”を後ろ中心に差し込んで
ください。
このときに前にくる結び方は、はかまの”雰囲気”や“袴の美”を表現してくれますから 、練習して身に着けてください。飾り結びなどいろいろ楽しめます。
喜左衛門は面倒くさがりですから、簡単なちょう結びで、あまった端は適当に腰紐に挟み込んでいます。
袴位置の高さは上に着る着物の帯位置で決まりますから袴自体は意外と短足に見えるかも知れません。
好みにより腰板をつけることができます。
硬めの布芯を入れた、ソフトタイプ 、プラスチック系の硬めのハードタイプから選んでください。
≪角帯幅ぶん後ろが広い袴≫
この袴を着たときのシルエットがやはり一番きれいに見え、袴の袴(ほこ)らしい感じがします。
残念ながら車が交通手段の田舎に住み、腰痛気味の喜左衛門はあまり着用することがありませんが・・・・。
この袴でも前紐の結び方は変わりませんが、角帯などの結び目で後ろ中心に”かさ”をだして、後ろ高の袴の美しさを見せてくれる袴です。 このタイプの袴は、踊りや古典などでも見ることができます。
この形の袴は、結んだ帯の上にかぶさるように後ろ身頃をかくおび幅分長く作ります。
腰板を腰にあてがうことで袴の着崩れを防ぎます。
このときの腰板はハードタイプが標準です。
凛とした袴生活をお楽しみください。
≪蛇足・・・≫
袴を着けた姿は大変格好のよいものですが、私的には横から見たときの姿に限ってだけだと思います。
正面から見ると、腰周りが貧弱に見えるのは否めません・・・・・。
上着に負けるのか?男性のヒップ周りが細いのか・・・?
袴姿のプロのモデルさんも、手を腰脇に入れてふくらませ加減に撮影してるのを多く見られます。羽織をつけるとなんとかよく見えるのですが、せっかく後ろ高にかっこよくきまった横からのスタイルが隠れてしまい残念です。
女性の袴姿を見ると、はかまの結びをこしだかにつけますし、ヒップ周りも豊かですから、正面でも横からでもきれいに見えます。
次回は、袴の裾部分の広さを寸法でお知らせします。
喜左衛門
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